消化器外科 呼吸器・乳腺外科
当院の消化器外科 呼吸器・乳腺外科のご案内です。
Gastrointestinal surgery
概要
外科スタッフは総勢10名で、日本外科学会専門医が10名、うち指導医が5名、さらに日本内視鏡外科学会の技術認定取得者が2名おり、数・質ともに秋田県トップクラスのチーム編成です。
2022年の外科手術件数は862件(全身麻酔手術622件)でした。当院は地域がん診療連携拠点病院ということもあり、悪性腫瘍の手術が多く、胃がん48件、大腸がん109件、乳がん43件、肺がん41件、肝胆膵の悪性腫瘍27件でした。また、虫垂炎をはじめとする腹膜炎、腸閉塞、消化管穿孔などの救急疾患、鼠径ヘルニア(脱腸)、いぼ痔や痔ろうなどの肛門疾患の手術も多く、例年400件以上です。
近年、小さな創の手術−鏡視下手術−の標準化が進んできております。当科においては、肺手術の約9割以上、胆嚢手術の約9割、結腸・直腸・虫垂手術の約8割以上、胃手術の約4割、そしてヘルニア手術の約3割に鏡視下手術を導入しており、今後この割合はさらに増加するものと予想しています。
いずれの診療におきましても、消化器内科、呼吸器内科、放射線科、病理診断科、麻酔科、緩和ケア内科など関連各科と連携しながら進めております。
学会施設認定
- 日本外科学会認定医制度修練施設
- 日本外科学会外科専門医制度修練施設
- 日本消化器外科学会専門医制度認定施設
- 日本呼吸器外科学会専門医制度関連施設
- 日本胸部外科学会認定医認定制度関連施設
- 呼吸器外科専門医認定機構関連施設
- 日本乳癌学会認定施設
- 日本大腸肛門病学会専門医修練施設
- 日本大腸癌研究会施設会員
- 東北外科集談会施設会員
- 日本静脈経腸栄養学会認定NST稼働施設
専門外来のご案内
ストーマ外来
(毎週月曜日・水曜日、完全予約制)
<腹部に人工肛門及び人工膀胱を有する方を対象に、専任のWOC(創傷、オストミー、失禁ケアー)認定看護師が患者さんのご相談に応じます。>
当科の特徴・当科で行っていること
消化器外科医・呼吸器外科医・乳腺外科医が協力し合いながら診療を行う“大外科方式”をとっており、専門分野に捕われ過ぎず、患者さんの全身を診るよう心掛けております。
主にがん疾患をはじめとする悪性疾患に対して高い根治性を追及することはもちろんの事、術後のQOLをいかに良好に保つかを考えて診療を行なっております。
【大腸がん】
積極的に腹腔鏡下手術を行っており、2022年は大腸がん手術の80%に及んでおります。腹腔鏡下手術の特徴は創が小さく済むことにより、術後の回復が早いことです。
下部直腸がんに対しては患者さんの状況に応じ、可能な限り人工肛門を回避し、肛門温存を心がけております。
また、比較的進行した直腸がんに対し、まず化学療法や放射線療法を行ってから手術することで、治る確率を高める治療を導入しております。
さらに、肝臓や肺に転移した場合でも、全身の状況を見ながら積極的に肝切除術・肺切除術を行っております。
【胃がん】
胃の出口に近いがんに対しては、出口側2/3を取る幽門側胃切除術を基本とし、胃の入り口に近いがんに対しては胃全摘出術、入り口側半分を取る噴門側胃切除術を行っております。
また、早期胃がんを中心に、腹腔鏡下幽門側胃切除術、腹腔鏡下胃全摘術を導入し、より低侵襲な手術を行っております。2022年は胃がん手術の33%が腹腔鏡を用いた手術でした。
進行例に対しては周囲臓器合併切除を含めた拡大手術も行っております。
【乳がん】
術前に乳がんの広がりを正確に判断し、可能な限り乳房温存手術を心がけております。また色素法とICG蛍光法を併用したセンチネルリンパ節生検を行い、腋窩リンパ節郭清を回避する努力もしております。
【肺がん】
胸腔鏡補助下手術を標準術式とし低侵襲性と根治性のバランスを考慮した手術を行って来ており、2024年度からは秋田大学胸部外科と連携して診療しております。
【肝・胆道・膵臓がん】
肝切除術(部分切除〜約2/3切除)、膵切除術(右側を取る膵頭十二指腸切除術、左側を取る膵尾側切除術、真ん中を取る膵中央切除術)、肝門部胆管がん手術、血管合併切除術などを、患者さんの状態と相談しながら行っております。
また、当院消化器内科、検査科、事務スタッフと共に、膵がん早期発見プロジェクト(なまはげプロジェクト)を推進しております。
【胆嚢結石症】
重症急性胆嚢炎も含め、腹腔鏡下胆嚢摘出術を標準的に行っております。2022年は胆嚢摘出術の85%を腹腔鏡下で行なっております。胆嚢炎の状況や患者さんの状態によっては、消化器内科の治療を先行し、後日当科で手術を行う場合があります。
また、胆嚢につながっている胆管というパイプにも石がある場合、消化器内科で内視鏡を使って胆管の石を取ってから、当科で手術を行うことが多いです。
【鼠径ヘルニア】
腰椎麻酔下にdirect Kugel Patch®やKugel Patch®という人工的な膜を用いた修復術を行っております。入院期間は通常4日間です。最近、患者さんの病状やご希望によっては、全身麻酔下の腹腔鏡下手術も導入しております。2022年は88件の鼠径ヘルニア手術中15件、約17%が腹腔鏡下で行なっております。
【急性虫垂炎】
全身麻酔下の腹腔鏡下手術を標準術式にしています。手術を受けていただくタイミングは、病状や患者さんのご希望に応じ、早めに手術する場合、お薬で治して一旦退院し、後日受けていただく場合等があります。また、お薬の治療で治し、手術せずにそのまま経過を観る場合もあります。
一般的な腹腔鏡下の虫垂切除術は、3カ所の小さい傷から腹腔鏡や手術器具を入れて行いますが、患者さんの病状や希望によっては、おへその創一ヶ所のみで手術する“単孔式”の腹腔鏡手術(SILS)を行う場合もあります。2022年は虫垂炎の手術が58件で、通常の腹腔鏡下手術が26件、単孔式の腹腔鏡手術が11件でした。
【肛門疾患】
内痔核に対して従来法(L&E結紮切除法)のほか、ジオン®注を用いた四段階注射法(ALTA法)を導入し、1泊2日と入院期間が短く、術後疼痛もなく、効果にもすぐれ好評を得ております。その他、裂孔による肛門狭窄や痔瘻に対しても積極的に治療を行っております。
【化学療法】
術後補助化学療法、再発治療の化学療法も当科にて行っております。従来の抗癌剤に加え、分子標的薬も積極的に使用し、最新のエビデンスに基づいた治療を行っております。外来化学療法室を併設し、がん化学療法看護認定看護師が専門的知識の下に看護にあたっております。
以上、当科で行っている診療内容の一端をご紹介いたしました。
実際の治療は、担当医が患者さんの年齢、体調、今までのご病気、現在の病状を診た上で、患者さんご本人・ご家族と相談し、計画を立て、次いで、その治療計画を外科医全員が参加する会議で検討した上で実行に移されております。
ただ、一番大切なのは、ご本人・ご家族のお考えです。方針などに疑問点がございましたら、私たちスタッフにいつでも、何なりとご質問ください。